「ジャムが先か、クリームが先か?」イギリス全土を揺るがす伝統の「スコーン論争」が勃発、ジャム・ファースト派が6割超の圧倒的優勢に

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スコーンにジャムとクリームをたっぷりつけて、温かい紅茶と一緒に楽しむ「クリームティー」。イギリスの優雅なお茶の時間を象徴する定番のセットですが、実は本場イギリスでは、これに関して何百年も熱い議論が繰り広げられているのをご存じでしょうか?

それが「ジャムを先に塗るべきか、それともクリームを先に塗るべきか?」という問題です。日本人からすれば「どっちでもいいのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、イギリス人にとっては政治や地域愛とも結びつく非常に真剣な大問題なのです。イギリスらしい話題ですね。

大手世論調査機関のデータによると、現在のイギリスでは「ジャム・ファースト」とする派閥が6割以上を占め、圧倒的な優勢を見せていることが分かってきました。一体なぜこの塗る順番がそこまで重要視され、人々を熱狂させているのでしょうか。

この論争の背景には、イギリス南西部に位置する2つの地域「コーンウォール州」と「デヴォン州」の深いライバル関係があります。どちらも美しい海岸線と豊かな酪農で有名なバカンス地ですが、ことスコーンの食べ方に関しては真っ向から対立してきました。

コーンウォール方式(コーニッシュスタイル)は、温かいスコーンを半分に割り、まずジャムを塗ってから、その上に濃厚な「クロテッドクリーム」を乗せるやり方です。一方のデヴォン方式(デヴォンスタイル)は、先にクロテッドクリームをバターのように塗り拡げ、その上にジャムを重ねます。

ここで登場するクロテッドクリームとは、牛乳をゆっくり加熱して表面に浮き出た脂肪分を集めて作られる、非常に濃厚な乳製品のことです。バターと生クリームの中間のような質感を持っています。デヴォン州の人々にとって、このクリームはバターと同じ役割を果たすため「土台として先に塗るのが自然だ」と主張します。対するコーンウォール州の人々は「ジャムで平らな土台を作り、その上に大切なクリームを冠のように飾るべきだ」と譲りません。

クロテッドクリームの質感。見た目はバニラアイスのようです

では、イギリス国民全体の意識はどうなっているのでしょうか。

イギリスの世論調査会社YouGov(ユーガブ)が数万人規模の国民を対象に行ったアンケート調査によると、なんと全体の6割を超える人々が「ジャムが先(コーンウォール方式)」と回答しました。「クリームが先(デヴォン方式)」と答えた人は約2割にとどまり、全国的にはジャム先塗り派が圧倒的なシェアを獲得していることが明らかになりました。

本家であるコーンウォール州では86%の人がジャムファーストを支持したのに対し、デヴォン州では「クリームが先」と答えた人が約49%にとどまり、地元ですら意見が割れる結果となっています。さらに、ロンドンの高級ホテル「ザ・リッツ」などの伝統あるアフタヌーンティーでもジャムを先に載せるスタイルが採用されており、名実ともに「ジャム・ファースト」が主流になりつつあります。

科学的な観点や調理のしやすさから見ても、ジャムが先の方が合理的という意見が存在します。焼き立ての温かいスコーンに冷たいクロテッドクリームを直接塗ってしまうと、クリームの油脂が溶けてダレてしまうことがあります。室温のジャムを先に塗ることで熱を和らげるクッションになり、その上に冷たいクリームをこんもりと乗せた方が、クリーム特有の立体感やなめらかな食感を維持しやすいという考察もあります。

たかが食べ方の順序ですが、イギリスではこの論争が政治家の評判にまで響くことがあります。かつて選挙運動中の首相や政治家が「どちらの塗り方が正しいと思うか」と質問され、回答によって特定の地域の有権者から猛反発を受けた例は一度や二度ではありません。ジョークのような話ですね。

食べ物に対するこだわりは、その土地の文化やアイデンティティと強く結びついています。一見すると微笑ましい議論に見えますが、自国の伝統や食の細部にまで情熱を注ぐイギリス人らしい文化の一面を表していると言えます。

長年続いてきたスコーン論争ですが、世論調査の数字や扱いやすさの観点から見ると、現在は「ジャム・ファースト」というコーンウォールスタイルが優勢な状況です。

とはいえ、食の楽しさは最終的には個人の好みに委ねられるものです。サクサクのスコーンに、甘酸っぱいジャムと濃厚なクリームが組み合わされば、どちらが先であっても美味しいことには変わりありません。もしみなさんがスコーンを食べる機会があれば、ぜひ「ジャム先」と「クリーム先」の両方を試して、自分なりのこだわりを探してみてはいかがでしょうか。

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