鏡に映る自分を「自分」だと気づける動物はどれくらいいるのか?自己認識をめぐる意外な実験結果

コラム
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Amazon.co.jp: 山善(YAMAZEN) 卓上三面鏡 幅43×奥行13×高さ26.5cm ホワイト PM3-4326(WH) : ビューティー
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洗面所や街中でふと鏡に自分自身が映ったとき、私たちはごく当たり前に「あ、これは自分だな」と理解できます。しかし、動物たちの前に鏡を置いてみると、その反応は実に様々です。鏡に映った自分の姿を見て猛烈に威嚇を始めたり、不気味に感じて怯えて逃げ出したりする動物もいれば、じっと自分を観察し始める動物もいます。

いったいなぜ、動物によって鏡に対するリアクションがこれほど大きく異なるのでしょうか。実は、動物が鏡に映った姿を「自分」だと認識できるかどうかは、生物学や心理学の世界で「自己意識(自分という存在を客観的に理解する能力)」の有無を確かめるための重要な手がかりとして長年研究されています。

なぜ、この「鏡と動物」の関係が科学の世界で大きく注目されているのでしょうか。その背景には、人間の心がどのように進化してきたのかを探りたいという科学者たちの強い探求心があります。

かつては「自分を自分として認識できる高度な心を持っているのは人間だけだ」と考えられていた時代もありました。しかし、動物たちの認知能力を調べる実験手法が進化するにつれて、人間以外の生物も私たちが想像している以上に高度な思考や自我を持っている可能性が次々と示されるようになったのです。

動物が自分を認識できるかを調べる代表的な方法が、1970年代に心理学者のゴードン・ギャラップ氏が考案した「マークテスト(鏡像自己認知テスト)」です。

このテストでは、まず動物が寝ている間などに、本人からは直接見えないおでこや耳の後ろなどに無害な絵の具でマーク(印)をつけます。その後、鏡を見せたときに動物が「鏡の中の印」ではなく「自分自身の体の印」を触ろうとするかどうかを観察します。もし自分の体を触れば、鏡に映っているのが「他者」ではなく「自分」だと理解できている証拠になるというわけです。

このテストをクリアできる動物は、実はほんの一握りです。チンパンジーやボノボ、オランウータンといった人間に近い類人猿をはじめ、イルカ、アジアゾウ、カササギ(鳥類の一種)などが合格したことで知られています。さらに近年の研究では、ホンソメワケベラという体長数センチほどの小さな魚までもがこのテストをクリアしたという報告があり、研究者の間で大きな話題となりました。

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ホンソメワケベラ

一方で、私たちが身近に接している犬や猫、ニホンザルなどは、このマークテストをクリアすることが難しいとされています。犬や猫に鏡を見せると、最初は別の動物がいると思って吠えたり威嚇したり、裏側に回り込んで探そうとしたりしますが、害がないと分かると次第に興味を失って無視するようになります。

この実験結果は、私たちにどのようなことを教えてくれるのでしょうか。ここで注意したいのは、「マークテストに失敗したからといって、その動物に知性や心がないとは限らない」という点です。

例えば犬の場合、視覚よりも「匂い」や「聴覚」を使って世界を認識しています。鏡には形が映っても自分の匂いがしないため、視覚を優先する人間向けのテストでは正しく能力を測れていないのではないか、という指摘もあります。つまり、鏡で自分を認識できるかどうかは、脳の知能の高さだけでなく、その動物が「どの感覚を頼りに生きているか」に強く依存している可能性があるのです。

鏡に映った自分を理解する能力は、生き物たちがそれぞれの環境に適応して生きていく中で育まれてきた、進化の多様性を示す魅力的なサインの一つと言えます。

現在は、視覚だけでなく匂いや音を使った新しい自己認識のテスト方法も開発されつつあり、これまで「自分を認識できない」と思われていた動物たちの意外な内面が、今後さらに解き明かされていくかもしれません。

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