客がほとんど来ない服屋はなぜ潰れないのか?「売らない店」が増えている意外な裏事情

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街を歩いているとき、いつ見ても客がほとんど入っていない服屋を見かけたことはありませんか。「店員さんも暇そうだし、家賃や電気代もかかるのに、どうやって営業を続けられているんだろう?」と不思議に思ったことがある人も多いのではないでしょうか。

一見すると商売として成り立っていないように思えるこうしたお店ですが、実は裏でしっかりと利益を生み出す仕組みが作られているケースがあります。私たちが知っている「服を畳んで、接客して、レジで売る」という店舗のあり方とは、まったく異なるビジネスの狙いが隠されているのです。

なぜ今、客数が少なく見えても成り立つ店舗や、あえて「売らない」スタイルのアパレル店が注目されているのでしょうか。その背景には、スマートフォンとネット通販(ECサイト)の普及によって、人々の買い物の仕方がガラリと変わったことがあります。

これまでのアパレル業界は、繁華街や駅前などの良い立地に大きな店を出し、たくさんの客を集めて服を買ってもらうのが当たり前でした。しかし現代では、店舗の家賃やスタッフの人件費が上がり続ける一方で、多くの人が「服はネットで買う」時代になっています。そこで企業側も、わざわざ大量の在庫とスタッフを並べる従来の売り方を見直し始めているのです。

では、客がぜんぜん入っていないように見えるお店は、具体的にどうやって儲けているのでしょうか。

主な理由の一つは、店舗を「服を売る場所」ではなく、「ネット通販(EC)へ誘導するための案内所」として使っている点です。こうした店は「ショールーミングストア」や「体験型店舗」と呼ばれ、店頭では服の試着やサイズの確認だけを行い、実際の購入はスマホでQRコードを読み込んでネット上で行ってもらいます。店舗自体で売上を出さなくても、その店で商品を体験した客が後からネットで買ってくれれば、企業全体としては十分に利益が出る仕組みになっています。

また、店舗をブランドの「生きている看板(広告塔)」と割り切っているケースもあります。テレビCMやネット広告に何千万円も払う代わりに、人の目に触れる場所に小さなお店を置いておくことで、ブランドの知名度を高める効果を狙っているのです。

さらに、高級ブランドや一部の専門店では、1日に何十人もの客を集める必要がなく、数少ない上顧客が一度に高額な買い物をするだけで毎月の運営費を十分にカバーできるというビジネスモデルもあります。

この変化は、これからの買い物や街の姿にどのような影響を与えるのでしょうか。

消費者にとっては、「店員に無理に話しかけられず、自分のペースで試着できる」「手ぶらで帰れて、商品は後から自宅に届く」といった新しいメリットが生まれます。企業側にとっても、広い倉庫やレジを置く必要がなくなり、在庫を抱えすぎるリスクや人件費を大幅にカットできるという利点があります。

もちろん、すべての服屋がこうしたモデルに変わるわけではありません。実際に服を手にとってその場ですぐ持ち帰りたいという需要や、デジタルに慣れていない層への対応など、従来の店舗ならではの強みも依然として残っています。

「客が入っていない店=もうすぐ潰れる店」という常識は、テクノロジーとインターネットの進化によって大きく変わりつつあります。

街で見かける静かな服屋は、もしかすると私たちの買い物の未来を一足先に形にしている場所なのかもしれません。次にそんなお店の前を通ったときは、「どんな仕組みで動いているのかな」と少し観察してみると面白い発見があるはずです。

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