
「映画館のアイツ」に対する不思議な噂
休日の映画館でふわっと漂ってくる香ばしい香りに誘われて、ついつい大きなカップを抱えて席についてしまうことがあります。あのポップコーンという食べ物は、私の中ではずっと、映画を楽しむための楽しい脇役であり、同時に少しだけ背徳感を感じさせるジャンクフードの代表格でした。
ところが最近、そんな私の常識を揺さぶるような話を耳にしました。なんともっとも健康的なおやつはポップコーンであるという説です。最初は耳を疑いました。あんなに塩気が強くてバターがたっぷりのものが、体に良いはずがないやんけ。そう思いつつも、もしそれが本当なら、こんなに嬉しいことはありません。なぜなら、おやつを食べることへの罪悪感から解放されるかもしれないからです。
でも、一体なぜあのもこもことした不思議な食べ物が健康に結びつくのでしょうか。単なる流行りの健康法なのか、それとも私たちが知らない秘密が隠されているのか。そんな素朴な疑問が頭から離れなくなってしまいました。
「ジャンクフードの代表格」というレッテル
世間一般でポップコーンがどう思われているかを改めて整理してみると、やはり不健康なイメージが先行している気がします。映画館で売られているものはバケツのような容器に入っていて、大量の塩分やキャラメル、溶かしたバター状のオイルがこれでもかとかかっています。一袋食べれば一食分のカロリーに匹敵するのではないかという恐怖感さえあります。
お菓子売り場に並んでいる袋入りのものを見ても、ポテトチップスと同じ列に並んでいることが多いですよね。油で揚げてあるスナック菓子と同じ仲間だと思われても仕方ありません。高カロリーで、栄養価は低く、ただお腹を満たすだけの嗜好品。それが、私たちが長年抱いてきたポップコーンへの共通認識ではないでしょうか。
健康を気にする人なら、もっとナッツや小魚、あるいはドライフルーツを選ぶのが正解だと教えられてきました。ポップコーンを健康のために積極的に食べるという選択肢は、これまでの常識にはなかったものです。
隠された意外な正体
しかし、本当にポップコーンはただのジャンクフードなのでしょうか。少し立ち止まって考えてみると、面白い事実が見えてきます。当然ですが、そもそもポップコーンの原料はトウモロコシそのものです。しかも、他の加工された穀物とは違って、皮ごと加熱して弾けさせた「全粒穀物」なのです。
なんと私たちが健康に良いと思って食べている玄米や全粒粉パンと同じカテゴリーに属していると言われれば、急にその表情が違って見えてきます。
現代の食卓がいかにトウモロコシに支配されているかを知って驚いたことがありますが、その加工のされ方によって、これほどまでに印象が変わるのかと考えさせられました。
全粒穀物ということは、食物繊維が豊富に含まれているはずです。実際、ポップコーンに含まれる食物繊維の量は、同じ重さの他の野菜と比べても決して見劣りしないのだそうです。さらに、ペンシルベニア州のスクラントン大学の研究チームが発表した内容によると、ポップコーンにはポリフェノールが驚くほどたくさん含まれているというのです。
ポリフェノールといえば、赤ワインやチョコレートに含まれる体に良い成分として有名ですが、ポップコーンのあの少し硬い皮の部分にこそ、その栄養が凝縮されているらしいのです。そう考えると、あの邪魔だと思っていた歯に挟まる薄皮さえも愛おしく感じられてくるから不思議なものです。
食べ方をどうするか
こうして事実を並べてみると、ポップコーン自体は確かに優れたポテンシャルを秘めているように思えます。しかし、ここで一つの疑問が浮かびます。なぜ私たちはそれを不健康なものとして認識してきたのでしょうか。
その答えは、おそらく食べ方という構造的な問題に隠されています。ポップコーンそのものは間違いなく低カロリーで栄養豊富です。であっても、そこに大量の油やバター、砂糖、塩を加えてしまうことで、本来の良さがかき消されてしまうのです。野菜が体に良いからといって、大量のマヨネーズで和えてしまえば話が変わってくるのと同じことかもしれません。
家庭で乾燥した豆の状態から鍋や電子レンジで作り、味付けを自分で行えば、これほどカロリーコントロールしやすいおやつはないのかもしれません。油を一切使わずに作るエアポップという手法であれば、驚くほどヘルシーな食べ物に早変わりします。なんせ、全粒穀物ですからね。
つまり、ポップコーンが悪いのではなく、私たちがポップコーンを甘やかしすぎていた、あるいは過剰に飾り立てていたということなのかもしれません。素材そのものの力を見極めるのは、現代の複雑な食生活の中では意外と難しいことなのだと実感します。
条件付きで最強のおやつ
いろいろと考えてみましたが、今のところ私は、ポップコーンは確かに最強のおやつになり得る存在だ、という考えに落ち着いています。ただし、それはあくまで調理法を間違えなければ、という条件付きの結論です。
あの映画館で食べる背徳の味も一つの文化として大切にしたいですが、日常の中で少し小腹が空いたときには、フライパンで豆から弾けさせて、ほんの少しの塩と良質なオイルで楽しむ付き合い方を始めてみるのも、良いかもしれないなと思っています。
何が健康で何が不健康かという境界線は、意外と曖昧なものです。大切なのは、目の前にある食べ物がどういう仕組みでできているのかを自分なりに想像してみることではないでしょうか。私も今度スーパーでポップコーンの種を見かけたら、試しに手に取ってみようと思います。



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