運動キライ!野菜キライ!高カロリー食や飲酒・喫煙が大好き!なぜ人間は「不健康な行動」が好きなのか?

コラム

どうして体に悪いことが大好きなのか

学校の保健体育やテレビの健康番組で、バランスの良い食事をして、適度に運動し、お酒やタバコは控えめにしましょう(出来れば止めましょう)と耳にタコができるほど言われてきました。それなのに、私たちの体はどうしてこうも、その教えに反することばかりを求めてしまうのでしょうか。

仕事でへとへとになって帰ってきた夜、冷蔵庫を開けて冷えたビールを取り出す瞬間のあの高揚感。油がぎとぎとに詰まったラーメンを深夜にすする背徳的な美味しさ。週末に、今日は絶対にジムへ行こうと決意していたはずなのに、気づけばベッドの中でスマートフォンの画面を眺めたまま夕方を迎えてしまうあの強烈な引力。

体に良いことをした方が将来の自分のためになると、頭ではこれ以上ないくらい理解しているつもりです。それなのに、目の前にある高カロリーな食べ物や、ゴロゴロと怠惰に過ごす時間の魅力にはどうしても勝てない。私たちは意志が弱いからダメな人間なのだろうかと、つい自己嫌悪に陥ってしまいがちですが、どうやらこれには人間という生き物の、もっと深い仕組みが関係しているようなのです。

意志の弱さというよりも、人間の基本設定

世間ではよく、健康的な生活を送れないのは本人の自己管理能力が足りないからだとか、美意識が低いからだといった精神論で片付けられがちです。禁煙に失敗するのも、ダイエットが三日坊主で終わるのも、すべては「根性」が足りないからだというわけです。

しかし、そうした個人の気合いの問題にするのは、少し酷な話なのかもしれません。実は、私たちの脳や体そのものが、そもそも不健康な行動を好むようにプログラミングされているという見方が、近年の様々な研究から浮かび上がっています。

たとえば、私たちが脂っこいものや甘いものを食べたときに脳内で分泌される、あの快感をもたらす物質の存在です。これは遠い昔、人類がまだ狩猟採集をして暮らしていた頃の名残だと言われています。いつ次の食べ物にありつけるか分からない過酷な環境では、見つけた高カロリーなエネルギー源をできるだけ多く摂取し、なおかつ無駄な体力を消費しないようにじっとしていることこそが、生き残るための正解でした。

つまり、私たちが現代で運動を面倒くさがり、唐揚げやケーキに飛びつくのは、過酷な原始時代を生き抜くために祖先から受け継いだ、極めて優秀な生存戦略が環境が大きく変化した今もそのまま作動しているからだと言えるのです。

現代の環境と、追いつかない私たちの体

ここで、少し面白いデータや実験の話に目を向けてみましょう。

人間の脳の「報酬系」と呼ばれる仕組みに関する研究では、糖分や脂肪分を摂取したときに刺激される脳の領域は、ある種の依存性物質を摂取したときと非常によく似た反応を示すことが分かっています。美味しいものを食べて幸せを感じるシステムそのものが、現代の飽食の時代においては、過剰摂取を引き起こす罠になってしまっているのです。

また、運動に関しても興味深い知見があります。人間はもともと、生きるための狩りや移動という目的がなければ、エネルギーを節約するために動かないように進化してきたという指摘があります。

ある人類学的な調査によると、現代の都市部で暮らす人々と、今も伝統的な狩猟採集生活を続ける部族とでは、一日に消費する総エネルギー量にそれほど極端な差がないという驚きの報告もあります。つまり、動かないことは生物としてごく自然な省エネモードであり、わざわざお金を払ってジムに通い、重いものを持ち上げたり走ったりすることの方が、生物の歴史から見れば特異な行動なのかもしれません。

さらに、飲酒や喫煙といった嗜好品がもたらすリラックス効果も、現代社会が抱える特有のストレス構造と深く結びついています。一過性のストレスを打ち消すために、手っ取り早く脳の報酬系を刺激してくれる手段として、これらの行動が選ばれやすくなるのは、ある意味で合理的な防衛反応とも言えるわけです。

誘惑に負け続けるいくつかの理由

このように事実を並べてみると、私たちが不健康な行動に走ってしまうのには、いくつかの構造的な理由が見えてきます。

ひとつは、脳にとっての利益のタイムラグです。今ここで食べるラーメンの美味しさは、口に入れた瞬間に得られる確実な報酬です。一方で、今ここで運動を頑張ったり食事を我慢したりすることによる健康という報酬は、数年後や数十年後にしか手に入らない、目に見えにくい不確実なものです。人間の脳は、どうしても遠い未来の大きな利益よりも、目の前にある小さな利益を優先するようにできています。

もうひとつは、現代社会の環境そのものが、あまりにも誘惑に満ち溢れているという点です。歩けばすぐにコンビニがあり、ボタンひとつで夜中でも高カロリーな食事が届き、座ったままであらゆるエンターテインメントが楽しめる時代です。私たちの遺伝子は数万年前から大して変わっていないのに、周囲の環境だけが急激に便利になりすぎた結果、脳の省エネ欲求と食欲が完全に暴走してしまっている状況と言えます。

さらに、日々の生活で脳のエネルギーを使い果たしていることも影響していそうです。仕事や人間関係で頭をフル回転させた後は、健康的な選択肢を選ぶために必要な判断力や自制心がすっかり摩耗してしまっています。疲れた夜に、体に良いサラダを作る気力が湧かず、ジャンクフードに手が伸びるのは、脳のバッテリーが切れている証拠なのかもしれません。

仕組みと付き合う

結局のところ、人間が不健康な行動を好むのは、私たちが怠け者だからでも、意志が薄弱だからでもなく、生物としての生存本能と現代の便利すぎる環境がミスマッチを起こしているから、という側面が強そうです。

そう考えると、環境を変えずに毎日のように完璧な健康生活を送ろうとすること自体が、そもそも人間の本能に逆らう無理な挑戦といえるかもしれません。

たまには本能の赴くままに不健康を楽しんで、翌日に少しだけ歩く距離を伸ばしてみる。あるいは、身近にトレーニングのための道具を置いて目に入るようにしてみる。このくらい緩やかな姿勢でいる方が、精神的なストレスも含めたトータルの健康という意味では、ちょうど良い落としどころになるのではないでしょうか。

Amazon.co.jp: グロング 腹筋ローラー アブローラー 静音 腹筋 筋トレ ローラー 耐荷重150kg ワイドタイプ 初心者 握りやすいグリップ GronG : スポーツ&アウトドア
Amazon.co.jp: グロング 腹筋ローラー アブローラー 静音 腹筋 筋トレ ローラー 耐荷重150kg ワイドタイプ 初心者 握りやすいグリップ GronG : スポーツ&アウトドア

コメント

タイトルとURLをコピーしました