
サバとパン。この二つの組み合わせを初めて耳にしたとき、正直に言って少し困惑してしまいました。
日本人にとってサバといえば、やはり白いご飯と味噌汁、あるいは定食屋さんの脂がのった塩焼きといったイメージが強いのではないでしょうか。焼き魚の香ばしい匂いが漂ってくれば、自然とお箸を持ちたくなるのが私たちの日常です。
一方でパンといえば、ジャムやバター、あるいはハムやチーズといった洋風な具材を合わせるのが一般的ですよね。お魚を挟むにしても、ツナマヨネーズや白身魚のフライが関の山だと思い込んでいました。そんな固定観念を持っていた私が、トルコの名物料理であるサバサンドという存在を知ったとき、頭の中には大きな疑問符が浮かんだのです。あのお米にぴったりの青魚をパンに挟んで、本当に美味しいのだろうかと。

焼き魚とパンという意外な出会い
世間一般では、お魚をパンに合わせる文化はそれほど珍しいものではありません。フィッシュバーガーやサーモンサンドなど、おしゃれなカフェやファストフード店でもよく見かけます。しかし、それらの多くはフライにされていたり、スモークされていたりと、パンに合うように何かしらの洋風な加工が施されていることがほとんどです。
ところがサバサンドの基本は、シンプルに焼いたサバをそのままパンに挟むというもの。味付けも塩とレモン、そして玉ねぎなどの野菜を添えるだけという、潔いまでのシンプルさです。もちろんサバ缶でもOK。インターネットでレシピを検索してみると、トルコのイスタンブールにあるガラタ橋付近では、船の上でサバを焼き、それをどんどんサンドイッチにして提供する光景が名物になっているのだとか。
日本人の感覚からすると、焼きサバの脂がパンに染み込んで生臭くなってしまわないか?という不安がどうしても拭えません。でも、実際に試してみた人たちの感想を眺めてみると、意外にもこれが止まらない美味しさだという声が溢れています。コーヒーにも合うのだとか。どうやらそこには、私たちがまだ気づいていない味の調和があるようです。
栄養学から見た絶妙なバランス
少し調べてみると、サバという魚がいかに優れた食材であるかが改めて分かります。青魚に豊富に含まれるEPAやDHAといった不飽和脂肪酸は、健康を気にする現代人にとって非常に魅力的な要素です。また、サバにはたんぱく質だけでなく、ビタミンB12やビタミンDも含まれており、栄養の宝庫と言っても過言ではありません。
そんな栄養満点のサバをサンドイッチにする際、欠かせないのがレモンと野菜です。サバサンドにはたっぷりのレモン汁をかけるのが定番ですが、これは単なる臭み消し以上の役割を果たしているようです。レモンに含まれるビタミンCは、鉄分の吸収を助ける働きがあると言われていますし、何よりサバの強い脂を爽やかな酸味が中和してくれます。
また、一緒に挟まれるスライスした玉ねぎやレタスは、シャキシャキとした食感のアクセントになるだけでなく、食物繊維を補うという構造的な利点もあります。パンという炭水化物、サバというたんぱく質と良質な脂質、そして野菜のビタミンとミネラル。こうして並べてみると、サバサンドは一品で完結する非常に効率的な食事の形であるという事実が見えてきます。個人的なおすすめはブロッコリースプラウトで、大量の抗酸化成分スルフォラファンを摂取することができます。
なぜこんなに簡単に作れるのか
サバサンドの最大の魅力は、その驚くべき手軽さにあるのかもしれません。本格的に作るならバゲットやトルコのパンである「エキメッキ」を用意したいところですが、実は日本の食パンやロールパンでも十分に代用が可能です。
さらに驚きなのが、最近では骨抜きにされた塩サバや、コンビニでも手に入るサバの塩焼きパックを使えば、火を使わずに数分で完成してしまうという点です。焼いたサバに軽く塩胡椒をし、玉ねぎのスライスと一緒にパンに挟むだけ。最後にこれでもかというくらいレモンを絞れば、それだけで異国の風を感じる一皿になります。
このシンプルすぎる構造が、忙しい現代人の生活にフィットする理由なのかもしれません。手の込んだ料理を作る元気はないけれど、カップ麺では味気ないし栄養も気になる。そんなときに、冷蔵庫のサバを焼いてパンに挟むという選択肢は、意外と合理的な解決策になり得るのではないでしょうか。


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