2027年にエアコンの省エネ基準が変わりますが、心配無用です【買い替えを焦る必要なし】

テクノロジー

部屋のエアコンを眺めながら思うことがあります。夏になれば冷房をつけっぱなしにし、冬になれば暖房としてこき使う。私たちの暮らしになくてはならないこの白い箱状の機械ですが、最近ネットのニュースや家電量販店の店先で、気になる言葉を見かけるようになりました。

それが、エアコンの2027年問題というものです。どうやら、来年である2027年を境に、エアコンの省エネ基準が変わり、私たちが普段お世話になっている家電選びの常識が大きく揺らぐかもしれないらしいのです。

とりあえず一番安いやつで!、という買い方ができなくなるかもしれないと聞いて、ちょっとソワソワしているのは私だけではないはずです。

なぜ今エアコンが変わろうとしているのか

世間でよく言われているのは、2050年のカーボンニュートラル、つまり温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという大きな目標に向けて、国が本気で動き出したというお話です。家庭で使われる電気のうち、およそ30%近くをエアコンが占めているのだから、ここをギュッと絞るのが一番効果的だという理屈のようです。

経済産業省が主導するトップランナー制度という仕組みが基になっており、これは現在市場で最も優れているトップクラスの省エネ性能を、数年後の最低基準にしてしまおうという、なかなかにスパルタな制度です。メーカーに対して、全体としてこれくらいの省エネレベルをクリアしてくださいねと求めるものらしく、これによって全体の底上げを図るのだそうです。

結果として、これまで4万円や5万円ほどで買えていた、いわゆる低価格帯のシンプルモデルが、新しい厳しい基準をクリアできずに市場から姿を消してしまうのではないか、と噂されています。性能が上がるのはありがたいけれど、本体価格が3割近く跳ね上がるかもしれないという話もあり、それなら今のうちに買い替えるべきなのかと、ちょっとした駆け込み需要の気配すら漂っています。

資源エネルギー庁の発信から見える本当のところ

本当に安いエアコンは全滅してしまうのでしょうか。ちょっと心配になって調べてみると、国や専門家の発信からは、世間の大騒ぎとは少し違った、落ち着いたグラデーションが見えてきます。

まず、資源エネルギー庁がまとめている情報を見てみると、2027年4月になった瞬間に、基準を満たさないエアコンの製造や出荷が完全に禁止されるわけではないようです。この制度は、メーカーが1年間に出荷する製品全体の平均値で目標を達成していればセーフ、という仕組みになっています。つまり、省エネ性能がものすごく高い高級機をたくさん売っていれば、その陰で少し基準に届かない安価なモデルを出し続けることも、計算上は不可能ではないということです。

また、今自宅で使っているエアコンが使えなくなったり、修理ができなくなったりするわけでもありません。メーカーの部品保有期間もしっかり維持されるため、慌てて粗大ゴミにする必要はどこにもないのです。

さらに、家電に詳しい人たちの見立てによると、最初は技術的なコストがかかって全体的に値上がりする可能性は高いものの、将来的には海外メーカーなどが新しい省エネ基準をクリアした上で、価格を抑えた新しい普及機を開発してくるだろう、とも予想されています。

私たちが抱く不安の構造

この問題がここまで人々の心をザワつかせるのは、単なる機械の基準変更にとどまらず、私たちの生活の防衛本能に触れるからではないでしょうか。

ここ数年、あらゆるものの値段が上がり、電気代の請求書を見るたびにため息が出るような日々が続いています。そんな中で、命を守るライフラインでもあるエアコンの初期費用まで高くなるかもしれないと言われれば、誰だって身構えてしまいます。

賃貸マンションを経営している大家さんにとっても、各部屋のエアコンが壊れたときの買い替え費用が跳ね上がるとなれば、それは死活問題です。巡り巡って、家賃や管理費に影響するのではないかといった、見えない連鎖への不安もあるのかもしれません。

私たちは、環境にいいことの大切さを理解しつつも、日々の財布の紐との間で、常に板挟みになりながら暮らしています。その葛藤が、このニュースに対する敏感な反応となって表れているように思えてなりません。

選択の基準は

買ってから十年以上が経ち、最近どうも効きが悪いなと感じているなら、新基準を先取りした現行の省エネモデルを今のうちに検討するのは、長い目で見れば電気代の節約になって賢い選択かもしれません。逆に、まだ買って数年しか経っておらず元気に動いているなら、世間の駆け込みムードに流されて慌てて買い替えるのは、それこそお金も資源ももったいない話です。

暮らしの数だけ事情があり、どれが正しいとは一概に言えないのが、こうした生活家電の難しいところであり、面白いところでもあります。

新しい基準が始まる2027年まで、まだ少し時間の猶予はあります。これから各メーカーがどんな知恵を絞って新型機を出してくるのか、あるいは本当に格安機が減ってしまうのか。お部屋のエアコンにフィルター掃除という名の感謝を捧げつつ、これからの市場の動きをのんびりじっくりと見守っていくのが、今の私たちにできる一番心地よいスタンスなのかもしれません。

2027年のエアコン省エネ基準改正による価格高騰や格安機の消滅リスクが騒がれていますが、国の制度はメーカー全体の平均値での達成を求めるものであり、慌てて今ある機械を買い替える必要はありません。焦らず各々の買い替え周期に合わせて、長期的な電気代と初期費用のバランスを冷静に見極める姿勢が大切です。

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