これからの時期に気になる「ワイシャツの透け問題」を考える。【インナーはグレーを、シャツはオックスフォードを選ぶのが正解】

爽やかなはずの白シャツが

暦の上ではもう春を過ぎて、少しずつ日差しが力強くなってくるのを感じる今日この頃です。

衣替えの季節になると、クローゼットから真っ白なワイシャツを引っ張り出して、よし今年も心機一転頑張るぞと鏡の前に立つわけですが、そこでふと手が止まる瞬間があります。

鏡に映った自分の胸元を見て、なんだかインナーがくっきりと浮き出ているような気がして、急に恥ずかしくなってしまうのです。

いわゆるワイシャツの透け問題は、特にビジネスマンにとって永遠の課題と言っても過言ではないかもしれません。清潔感を出そうと思って着ている白シャツなのに、その下に着ている肌着のラインが丸見えだったり、あるいは肌の色がうっすら透けて見えたりするのは、なんとも落ち着かないものです。自分ではビシッと決めているつもりでも、ふとした拍子に清潔感の裏側にある生活感が漏れ出しているような、そんなむず痒い感覚に襲われます。

この問題、気にしすぎだと言われればそれまでなのですが、一度気になり始めるともう止まりません。外出先でショーウインドーに映る自分の姿をチェックしては、ああやっぱり透けている気がすると肩を落とす。そんな経験、きっと私だけではないはずです。

白インナーは裏目に出る

私たちがこの問題に直面したとき、真っ先に思いつく解決策は、白いシャツの下には白いインナーを着ればいいという理屈です。白に白を重ねれば、色が同化して目立たなくなるはずだと、多くの人が疑わずに実践してきました。

しかし、実際にやってみるとどうでしょうか。白いインナーの形が、まるで境界線を引いたかのようにくっきりと浮かび上がってしまいます。袖のラインや首元の形が、外側のシャツを通して鮮明に見えてしまう。清潔感のために選んだ白が、皮肉なことに透けを強調する主犯格になっていたのです。

画像:https://shop.menz-style.com/blogs/college 「メンズ スタイル」より引用

世間ではよく、清潔感第一、インナーは白が基本というマナーが語られます。でも、この基本を忠実に守れば守るほどにインナーが見えてしまう。この矛盾をどう解消すればいいのか、私たちは長らく暗中模索の状態に置かれてきました。

最近ではベージュがいいらしいという噂も耳にしますが、さすがに抵抗があるという声も根強く、正解がどこにあるのか分からなくなってしまいます。

色彩の科学が教えてくれる境界線の秘密

ここで少し視点を変えて、なぜ白の上に白を重ねると目立ってしまうのかという事実を整理してみることにしましょう。これは視覚的なコントラストの問題なのだそうです。

私たちの目は、色の違いそのものよりも、隣り合う色との境目を認識する能力に長けています。肌の色と白いインナーの色の差が激しければ激しいほど、その境界線はくっきりと浮かび上がります。日本人の肌は多かれ少なかれ黄色や赤みを含んでいますから、純白の布を重ねると、肌の色との間に大きな色の段差が生まれてしまうわけです。

ある実験データによると、インナーの色の明度が肌の明るさに近ければ近いほど、境界線は認識されにくくなるという結果が出ているようです。ここでいう明度とは、色の明るさの度合いのことです。例えば、白は非常に明度が高い色ですが、一般的な肌の色はそれよりも少し暗いトーンにあります。

驚くべきことに、透けにくい色としての実力が高いのは、実はベージュもそうですが、ほかにも薄いグレー、あるいは少し赤みのあるラベンダー色だったりします。これらの色は、白に比べると単体では少し地味に見えますが、肌の上に重ねたときには肌の色とうまくなじみ、段差を小さくしてくれるのです。

白シャツを通してみたとき、肌の色とインナーの色の区別がつかなくなることで、結果として透けていないように見える。これは光学的なカモフラージュのような現象だと言えるかもしれません。

生地の世界にも足を踏み入れる

色の問題が解決したとしても、次に立ちはだかるのが素材の壁です。ひとえにワイシャツと言っても、その織り方や厚みは千差万別です。

一般的によく使われるブロードという生地は、表面が滑らかで光沢がありますが、糸が細いために比較的透けやすいという特徴があります。一方で、オックスフォードという生地は、ボタンダウンシャツなどによく使われる少し厚手でざっくりとした質感を持っており、こちらは物理的な厚みがある分だけ透けにくい傾向にあります。

しかし、ビジネスのフォーマルな場ではブロードの方が好まれることも多く、透けにくいからといって厚手の生地ばかりを選ぶわけにもいかないのが難しいところです。

また、最近ではポリエステルを混ぜた速乾性の高い機能性シャツも増えていますが、これらは天然素材の綿に比べると、光の反射の仕方が異なるために、インナーが独特の浮き上がり方をしてしまうこともあるようです。

あるいは、少し透けることを前提にして、あえて見えてもいいようなデザインのインナーを合わせるという上級者向けのテクニックもあるでしょう。

少なくとも、インナーの色をベージュやグレーに変えてみるだけで、これまでの悩みが嘘のように軽くなる可能性があるということを知っておくだけでも、明日の朝の鏡の前での絶望感は和らぐはずです。

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