不愉快な広告はなぜ発生する?マイナスイメージになりそうな行動の裏にある出稿側の思惑とは

スマホを眺めている時に感じるモヤモヤ

寝る前のリラックスタイムにスマートフォンを眺めていると、ふいに画面を占領する不快な広告。清潔感に欠ける画像だったり、わざと不安を煽るようなストーリーだったり、あるいは生理的に受け付けないような描写だったりと、そのバリエーションは驚くほど豊かです。

どうしてこんな広告が世の中に出回っているんだろうと、不思議に思ったことはありませんか。企業としては自社のイメージが悪くなるだけじゃないのかとか、むしろ逆効果で誰も買わなくなるのではと、一人の消費者として心配にすらなってしまいます。

私も以前、あまりに度を越した広告を見かけて、この会社は一体何を考えているんだと憤りを感じたことがあります。でも、少し立ち止まって考えてみると、もし本当に全く効果がないのであれば、これほど多くの不快な広告が毎日作り続けられるはずがありません。そこには、私たちの直感とは少し違う、広告を出す側の冷徹な計算や仕組みが隠れているような気がして、少し詳しく調べてみることにしました。

YouTubeに肌色の多い広告はなぁ…

イメージが悪くなるはずなのに出稿し続ける謎

一般的に、広告というのは商品の魅力を伝えて、ブランドの好感度を上げるためのものだと考えられています。素敵な音楽が流れて、綺麗なモデルさんが微笑んでいる。そんな爽やかな広告こそが王道であり、ブランド価値を高める正攻法だと思われていますよね。

一方で、不快感を与える広告はブランドを傷つける悪手だと思われがちです。嫌いな広告を出している会社の商品は二度と買わないという強い拒否反応を示す人も少なくありません。それなのに、なぜわざわざ嫌われるリスクを冒してまで、あのような手法が取られるのでしょうか。

実は広告の世界には、好感度よりも優先される指標が存在しているようです。それは、どれだけ多くの人が手を止めて、どれだけ多くの人がクリックしたかという、ごく単純でシビアな数字です。

ある調査データによれば、人間の脳は綺麗なものや平和なものよりも、危機感を感じるものや違和感のあるものに素早く反応するようにできているといいます。生存本能に近い部分が刺激されるため、無意識に視線が吸い寄せられてしまうのです。広告主からすれば、スルーされる綺麗な広告よりも、嫌われながらも見られてしまう広告の方が、投資に対する効率が良いと判断されている可能性があります。


感情を排除したアルゴリズム

現代のインターネット広告の多くは、人間が一つひとつ配置を決めているわけではありません。AIアルゴリズムと呼ばれる仕組みが、膨大なデータをもとに、どの広告を誰に出せば一番効率的かを瞬時に判断しています。

ここで少し怖いのが、AIには良心や美意識、あるいは不快感という概念がないことです。AIが学習するのは、この画像を出したらクリック率が**%上がったという結果だけです。

たとえそのクリックが、「うわ、気持ち悪い…」と思って詳しく見ようとした結果だったとしても、あるいは間違えて触れてしまったものだったとしても、数値上は「成果」としてカウントされてしまいます。するとAIは、この不快な画像は反応が良いぞと判断し、さらに似たような傾向の広告を優先的に配信するようになります。

このように、人間の生理的な反応と、それを数値だけで最適化しようとするテクノロジーが組み合わさることで、不愉快な広告が雪だるま式に増えていく構造が出来上がっているのかもしれません。作り手側も、最初は抵抗があっても、数字という動かぬ証拠を突きつけられると、背に腹は代えられないと妥協してしまう。そんな現場の苦悩も透けて見える気がします。


構造的な理由とこれからの付き合い方

結局のところ、不快な広告が消えない理由は、大きく分けて三つほどあるのではないかと感じています。

一つ目は、短期的な数値目標の達成です。長期的なブランドイメージよりも、今月の売り上げやクリック数を優先せざるを得ない企業の事情です。

二つ目は、広告制作の外注構造です。広告主である企業と、実際に制作・配信する会社が分かれている場合、制作側はとにかく数字さえ出せば契約が維持できるため、過激な表現に走りやすくなります。

三つ目は、私たち自身の反応です。嫌だと言いながらも、つい見てしまう。その一瞬の視線の滞留が、システム側には肯定的な信号として伝わってしまっているという皮肉な現実です。

もちろん、これはあくまで一つの見方にすぎません。最近ではあまりに不適切な広告に対して規制の動きも強まっていますし、企業側もブランド毀損のリスクを真剣に考え始めています。

ただ、私たちのスマホ画面が誰かの戦場になっているという事実を知っておくだけでも、少しだけ冷静にあのモヤモヤを受け流せるようになるかもしれません。不快な広告に出会ったら「またAIが数字を稼ごうとしていやがるな」と一歩引いて眺めてみるといった風に、振り回されない自分なりの距離感を見つけていきたいものです。

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